令和6年度の主な税制改正(企業編)

1.賃上げ促進税制の改正

  • (1) 中小企業に対しては、繰越控除制度(5年間)が創設されます。ただし、適用年度において、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を超えている必要があります。
  • (2) 女性活躍支援・子育て支援をした企業に5%の上乗せ措置がされます。
  • (3) 教育訓練費が増加した場合の5%の上乗せ措置の適用要件が、大企業・中堅企業は増加率10%(改正前20%)以上かつ当期の給与総額の0.05%以上、中小企業は増加率5%(改正前10%)以上かつ当期の給与総額の0.05%以上と改正されます。
  • (4) 控除額が段階的に見直され、大企業・中堅企業は最大控除率35%(改正前30%)、中小企業は最大控除率45%(改正前40%)に引き上げられます。
  • (5) 上記改正は、令和6年4月1日以後に開始する事業年度から令和9年3月31日までに開始する事業年度に適用されます。

2.オープンイノベーション促進税制の延長

事業会社がスタートアップ企業の株式を取得した場合、一定の要件の下、株式取得価額の25%相当額の所得控除を認めるオープンイノベーション促進税制の適用期限が令和8年3月31日まで2年延長されます。

3.中小企業事業再編投資損失準備金制度の延長・拡充

経営資源集約化のために一定の株式を取得し取得価額の70%以下の損失準備金を積み立てた場合にその額を損金算入できる中小企業事業再編投資損失準備金制度について、M&Aの実績のある企業が特別事業再編計画(仮称)の認定を受けるなど一定の要件を満たした場合、その積み立てた金額は、その事業年度において損金算入(株式取得価額の90%又は100%)できる措置が新たに加えられた上で、適用期限が令和9年3月31日まで3年延長されます。

4.交際費等の損金不算入制度の延長・拡充

交際費等の損金不算入制度について、交際費等の範囲から除外される飲食費等の金額が、令和6年4月1日以後に支出されるものから一人当たり10,000円以下(改正前5,000円以下)に引き上げられた上で、適用期限が令和9年3月31日までに開始する事業年度まで3年延長されます。

5.中小企業倒産防止共済事業の適用制限

中小企業倒産防止共済の契約を解除した後に、再契約をした場合には、解除の日から2年を経過する日までの間に支出する共済契約の掛金は、損金の額に算入されないこととなります。

令和6年10月1日以後の共済契約の解除について適用されます。

6.消費税に係る帳簿の記載事項の見直し

一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められる特例(3万円未満の自動販売機特例、入場券等回収特例)については、帳簿への住所等の記載が不要となります。